すっかり涼しくなりましたね、とはいきませんが
ギラギラした日差しは鳴りをひそめ、
少しずつ秋を感じるようになりました。
今日はちょっとした夏の思い出を。
バス停で、私の少しあとに到着した70歳前後と思われるご婦人に
「素敵なお洋服ね、色が綺麗。歩いていく姿を後ろから眺めていたのよ」
と声を掛けられました。
これは嬉しい。
仕事柄、もあるけれど 褒められるのは大変嬉しい!
ゴキゲンで「ありがとうございます!」
と言葉を返すと
「本当に綺麗な色ね。どうしたらそんなに綺麗な色使いができるの?」
「えーと…一応私…色の 仕事をしてまして…。でも、お上手に色使っておられますよね。お似合いです!」
「いえいえ、今から足のリハビリに行くから ただの運動ウェアよ。
今の若い方は良いわねぇ、いろいろな物が着られてねぇ。ほんとに綺麗。」
バスが来るまでの数分そんな会話を。
お世辞でも何でもなく、ご婦人の色使いはお上手で
ダークグレーのストレッチパンツに、薄手の生地の淡いグレーのパーカー、
インナーに柔らかな白のTシャツを着込み、白のスニーカーを合わせ、
運動ウェアと言いながらも色・素材など大変上品にまとめておられました。
似合う・似合わないも私はパッと見てだいたいわかりますが、そこも全然問題無し。
明らかに似合ってない色なら「近所でパーソナルカラー診断やってますので、良かったら」なんて
宣伝もするところですが、その必要もなさそう。(ある意味残念 笑)
だけど、こうして出会ったのもご縁。褒めてくださったし、お節介だけど少しだけ。
この方、パーソナルカラーはサマーで もう十分上手に色使ってるけど きっともうちょっと色みのある色も似合うはず。
「綺麗な色お好きだったら、ピンクとかも お似合いだと思いますよ。リハビリのやる気も グッと上がると思う」
とお伝えしました。
「ピンク〜?こんなおばあちゃんがぁ?」
「大丈夫。絶対大丈夫。今日の私の色がお好きだったら、今度ピンク見つけたら騙されたと思って試してみてくださいね!試着はタダだし」
そこまでお話ししたところでバスが到着。
バスに乗り込んだところでご婦人は「私はこちらに座るわね」と離れた席に。
絶妙な距離感を保つその姿勢も素敵だなと感じつつ、
バスに揺られながら、ご婦人との会話を思い返しました。
「今の若い人はいろいろなものが着られて良いわねぇ」
ご婦人のその言葉が 心に引っ掛かっていました。
世代間ギャップ。
当時の当たり前が、今は当たり前じゃない。
そんなことが多い世の中です。
私自身も思うことがある。
「あの時はこうだったのに」
「もしあの時こうだったら」
そんな恨みがましい気持ちになることもないわけじゃない。
だけどそれは個人レベルの話で、
長い長い人間の歴史を振り返ると、
その連続で今があって、過去より今は 確実に前に進んでいる。
それでも…と 恨めしく思う気持ちは、
どの世代・どの人にもあるだろうし、
変えたい・変わらなきゃと思っても
そう簡単に変われない部分もあるだろうと思う。
でも
「昔ダメだったものが 今は良いんだ」
と我慢していたものが許容されるようになったものについては、
これ幸い!と波に乗っていった方が良いように思う。
例えば、色・服。今の日本はどこまでも自由になった。
かつては制限があった。
身分次第で使えない色があったり、
それがある程度自由になってからも、
それぞれの時代に根を張っている「そういうもんだ」という呪縛。
「女の子だから・男の子だから」
「もういい歳だから」 …
「あの時はこうだったから」
「もしあの時こうだったら」
のたくさんの難しい事案に意見するほどの人間じゃないけれど
色や服くらいは 今こそ存分に楽しんでほしい、と思う。
そんなに「過去の呪縛」に縛られるほどのものじゃない。
出会ったご婦人は周りが見えていて、気遣いができる方だった。
そういう人ほど、「その人の時代」を一生懸命生きてきたのだろうと感じる。
一生懸命その時代を生きた人は、
変わっていきにくいかもしれない。
だけど、変わってほしい。
変えたって誰も迷惑しない。
色のことくらい。着る服のことくらい。
ご婦人はきっとピンクを着るともっと綺麗になる。
もう十分に見た目も、お人柄も素敵な方だったけど。
もっともっと綺麗に、華やかに、今を生きられる。
ピンク、着てほしいな。
なんて。余計なお世話だろうか。
私自身も、変わりづらい人間だと思う。
「まだピンク、着てないの?」
「今、色物 着てない人。終わってます!」
そんな冒頭で、営業をかけていく今のスタイルがちょっと…
いや、結構苦手だ。
「ピンク着て欲しいな、を伝えたい」という点では
同じなんだけど。
なんか、そういう言い方は好きじゃないな…って思ってしまう。
…変わらなきゃいけないのかな。
「色くらい、服くらい 変わっちゃいなよ!」
それくらいのことなんだろうか。。。
まぁ、こんなところでブツブツ呟いていても伝わらないなら。
やるしかないか?
いや、しかし…
なんてことが、この夏の私の思い出で、
結局ここで書いてしまった。
今回のブログが、あまりにも地味な私の思い出だけじゃ、申し訳ないので
配色テクニックを最後に。
今回、ご婦人に褒めていただいたコーデがコチラ。
私のパーソナルカラーはオータムなのですが、このスカートは
スプリングとオータムの間くらいの色がたくさん散りばめられています。
スプリングほど鮮やかすぎず、オータムほどくすみ過ぎず。
多色使いの場合は、あまり難しく考えず「見て、綺麗」だと感じたらOK。
布地自体「綺麗」と感じてもらえるように作られているものなので。
そして、多色と合わせる場合は、もちろん白・黒が合わせやすいですが、
多色の中の1色と近い色にすると、色物同士を合わせることができます。
例えば今回の場合であれば似た緑をトップスに持ってきました。
むしろあまり色合わせを考える必要がなく、バリエーションも増やしやすいので
一見難しそうに感じる多色使いのアイテムも案外便利なんですよ。